4月28日付の英ファイナンシャル・タイムズによると、「金利据置」に方向転換したFRBが、次はいつ「利下げ」に転じるかという点に、市場の注目が集まっているといいます。
かつてFRBで要職を務めた経験もあるイェール大学のビル・イングリッシュ教授は、「FRBによる利下げの兆候は見られない。おそらく暫くの間、現在の金利水準を据え置くのではないか。」とコメントしている。
ただしこのようにも付け加えている。
「しかしFRBの想定ほどインフレが進まず、かつ経済減速が判明した場合、より”金融緩和的な動き”を行うかもしれない。」
ここでいう”金融緩和的な動き”がFRBによる利下げを示唆していると見られます。
記事では利下げについて次のように述べています。
数名のエコノミストによると、FRBが金利据え置きという判断を捨て、利下げに踏み切るかどうかを判断することは難しいという。直近のFOMCの議事録には「経済の見通しは極めて不透明である」と記されている上、利上げも利下げもあり得る事に言及している。
要するに未だに利上げも利下げもあり得るのでよく分からないとのこと。ただし、FRB内でも意見は別れているという事です。
ただし議事録によると、「利上げ派」「据え置き派」「利下げ派」でFRB内で意見が別れている事が分かる。
またシカゴ連銀(FRBが統括する米国主要都市に点在する連邦準備銀行の一つ)のエヴァンス総裁が4月15日に行なったスピーチによると、
インフレまたはインフレ予測が低過ぎる状態で推移した場合、FRBの目標値達成のために、適切な金融緩和措置を行う可能性がある。金利を据え置くか、あるいは更に緩める(下げる)かである。
というように利下げの可能性を示唆したとの事です。
またFRBのクラリダ副議長も以下のように述べ、利下げを仄めかしています。
経済停滞が現れなくとも利下げに踏み切ったケースは過去にある。1995年と1998年だ。その際は保険的に金利を下げた。よって利下げがいつもリセッションを伴うとは限らない。
なおクラリダ副議長は現在はリセッションの兆候無しとも言っています。
この記事の最後は「FRBは利下げを行う事がトランプ大統領に屈した事になると考え、本当に適切に利下げをすべきタイミングを見誤る可能性もある」という内容で締められています。
本当に利下げが実現するのでしょうか。
これほどマーケットがFRBの利下げ動向に注目している以上・・・なんか本当に利下げが来そうですね。
利下げを理由にこれ以上株価が騰がったら正気を保てなくなってしまいそうです。
もう既にちょっと正気を失っているフシもあります。
原文: Weak US inflation scrambles debate on Fed’s next rates move (Financial Times 2019.4.28)
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