投資家達は2019年は大きなリターンを得られるかもしれないと期待していますが、ゴールドマン・サックスの主席世界株式ストラテジストによると、その希望は叶わないかもしれないといいます。
”ゴールドマン・サックスのオッペンハイマーは2019年の株式市場にはこれ以上大きなリターンを期待できないと言う(CNBC 2019.2.8)”
2018年の10、11、12月にかけて株式市場は大きく下落しました。米中貿易紛争、ブレグジット問題、世界経済の減速懸念という3つの要因が、2018年12月の株式市場を襲い、結果的に12月単月としては「世界恐慌以来最悪」の月となったわけです。
ところが2019年1月、投資家心理が急速に改善し、結果1月だけでダウ平均を7%押し上げています。
稲妻が煌めく瞬間を目撃した投資家達は、2019年は今後も著しい株価上昇があるかもしれないと期待しているわけですが、ゴールドマン・サックス主席世界株式ストラテジストのピーター・オッペンハイマーは、これについて以下のようにコメントしています。
2019年に入りダウ、SP500のみならず欧州株式市場(Stoxx600)も株価のラリー(上昇)の恩恵を享受しました。しかし企業のファンダメンタルズが示すのは、2019年の残り期間で、リターンは多くを望めないと言う事実です。
今年は、世界の主要地域全てにおいて利益成長が相当弱い事が予想されます。マーケットの売買量は薄くフラットになり、株価のレンジは狭まり、それゆえに株式市場のリターンは比較的低くなるでしょう。」
2019年が始まった直後、ゴールドマン・サックスのエコノミスト達は世界経済減退リスクが高まる中で、米国株の株価が高く評価され過ぎていると主張しました。2019年最初の数週間でインフレリスクが和らぎ始めたので、市場参加者が利益を逃すまいと次々に参戦し、結果的に株価が上昇し、バリュエーションはあまりにも速く悪化しています。
CNBCの、株式市場は既に2019年の株価上昇の全部ではないにしても殆どを出し尽くしたのか?という質問に対し
「殆ど、という意味ではイエスだと考えます。」
と回答しました。
企業の利益成長が比較的穏やかであることを考えると、ここからの株価上昇は僅かでしょう。
オッペンハイマー氏の発言の背景には上述のとおり企業の利益成長が見込めない事の他、欧州委員会が2月7日に2019年と2020年のユーロ圏の経済成長予測を大幅に引き下げた事があります。 世界的な景気後退が欧州全体に広がりつつあるという懸念が投資家心理を悪化させています。
建国記念日に景気の悪い話ですが、それでもクリック頂けると大変励みになります。