ジョンソン&ジョンソンを手放すタイミング

  

2019年12月17日、モルガン・スタンレーがジョンソンエンドジョンソンの目標株価を145ドルから170ドルへ引き上げました。更に投資判断を「イコールウェイト」から「オーバーウェイト」に上方修正しました。

 
同社によると市場は ジョンソン&ジョンソン が抱える法的リスクに悲観的になり過ぎており、株価が割安に放置されているといいます。

訴訟リスクで叩かれたジョンソン&ジョンソンは今が買い(バロンズ 2019.12.18)

 

確かに2019年はジョンソン&ジョンソンのパフォーマンスはパッとしませんでした。
12月17日時点で株価は141.70ドル、年初来リターンは+9.9%です。これはS&P500の+27.3%やS&P500ヘルスケアセクターの+17.5%から大きく劣後しています

原因はオピオイド鎮痛剤問題、ベビーパウダータルク混入事件、抗精神病薬リスパーダル問題、その他医薬品で抱える諸問題で、すべて訴訟関連事項です。
要は同社があまりにも多くの訴訟を抱えているため多額の賠償金支払リスクに晒されている事を、市場は懸念しているという事です。

 

このように多数の法的リスクに晒されて同社の株価は低迷していましたが、ここに来てモルガン・スタンレーは逆に強気な上方修正を打ち出しました。

「ジョンソン&ジョンソンの株価は、当社の傾向スコア加重解析が示唆するよりもはるかに多くの法的責任リスクを織り込んで価格設定されている。J&Jはそのディフェンシブ性を取り戻しつつあり、2020年には大きな躍進及び市場に対するアウトパフォーマンスをもたらすと予想される。」

デビッド・ルイス(モルガン・スタンレー 株式アナリスト)

またJ&Jの医薬品事業は「2020年に急激に伸びる」ため、「株価上昇をけん引する」と顧客向けレポートで言及しています。なお抗がん剤イムブルビカやクローン病治療薬ステラーラを始めとするいくつかの主力医薬品が政府承認間近であり、

「これらの認可が下りればより多くの患者へ投与が可能になるため、売上増に大きく寄与する」

とも述べています。

更に新薬であるトレムファ、スプラバルトも売り上げを押し上げる事を示唆しました。

  

ウォール街の見立てでは、訴訟による賠償金支払総額に底が見えてきたという事でしょうか?
そのあたりは我々のような日本にいる個人投資家には肌感覚としても全く見えない部分なので、ある程度このようなアナリスト分析を参考にしても良いのかなと思います。

 

いずれにせよ ジョンソン&ジョンソン は、新薬をバンバン開発して政府審査をゴリゴリ通し、ジャンジャン売り捌いてトップライン(売上高)を押し上げ賠償金支払いはある程度仕方ないのでとにかく売上を増やしてカバーすべしといった大変出入りの激しそうなビジネスモデルであることが伺えます。装備すると超高い攻撃力と引き換えに守備力がゼロになる「みなごろしのけん」を思い出しました(ドラクエ)。

  

ただ逆に言うと同社の新薬開発が思うように進まず、或いは政府認可が思うように得られなかった場合は、逃げる準備をしておいた方が良さそうです。その時こそが売り時かもしれません。

  

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