パウエル議長一問一答・訳してみよう

パウエルFRB議長は3月10日(日)、米テレビ番組「60ミニッツ」に出演しました。

インタビュー形式での一問一答を行っていたので、日本語にして紹介しようと思います。ちょっと長いので、意訳&タメ口のリラックス翻訳スタイルで行きます。

 

パウエル議長は米国経済の見通しは良好だと判断しており、2019年にリセッション入りする兆しも無いと暗に示しています。

 

****************

アンカー(以下A)「パウエル議長、金利上げるのもうやめたの?」

パウエル議長(以下P議長)「いい質問だね。前確かに、辛抱強さを示しますって言ったね。経済の状態は良好、インフレの様子は無し、そして現在の政策金利は適正レートだと考えているよ。」

A「“辛抱強く”ってどう言う意味?」

P議長「“利上げを急がない”って言う意味ね。利上げをやめるとは言ってないのがポイント。

 

A「米国経済の弱みは?」

P議長「はっきり言って米国経済はむちゃくちゃ強いよね。経済成長率3%超えてるし、雇用は増えてるし失業率は低いし、賃金は上がってるし消費者信頼感指数と企業信頼感指数は高いし。確かにちょっと減速してる感はあるけどね。まあ敢えてリスクを挙げるなら、中国、ユーロ圏の経済減速とブレグジットかな。」

 

A「自動車ローン延滞者が米国内で700万人を突破したけど、これについてどう思う?」

P議長「うーんそうは言ってもこの数年で自動車ローン貸出金額の母数自体がむちゃくちゃデカくなってるから、延滞者数もそりゃ人数だけ見たら増えるわなあ。。でもそれ以上にみんな経済繁栄を謳歌してるんじゃないの?まあ我々も延滞者数などの自動車ローン関連指数にはいつも注目してるよ。」

 

A「小売業の売り上げが2018年12月に急落したけど、どう思う?2009年以来の凄いペースで落ちてるみたいだけど。」

P議長「小売の売上高が減る一方で、個人の消費支出は2019年1月に急上昇してるという確定値も出てるよ。でも1月はみんな全然期待してなかったから大きく上昇したように見えたってこともあるよね。来月の数値に注目してるよ。」

 

A「米国経済はリセッションに向かっていると思う?」

P議長「2019年の成長は前年よりスローペースだと思う。去年は金融危機以降最高の成長率だったこともあるし尚更ね。でも今年は成長率はプラスだと予想してる。パーセンテージで言ってもまあ健全な数値が出ると思うよ。

 

A「2018年はトランプ政権による法人減税と過去数十年類を見ない低失業率で、米経済の成長率は3%だったんだけど、これが現在の経済の全力かな?4%とかもっと上、いけると思う?」

P議長「カギになるのは労働市場と労働生産性なんだよなあ。経済成長が4%とか5%だった1960年代や1970年代は、労働力人口も凄い速さで伸びていたんだよね。でも現在は高齢化社会だし、労働力人口の伸びも緩やかになってるね。だからあの頃と同じ経済成長率を維持するのは、あまり現実的じゃないかもね。」

 

A「てことは今後は4%なんて予想立てちゃだめか」

P議長「いや、単年で4%伸びる年も今後あると思うよ。ただ、チャレンジングだしそれが持続可能かというとちょっと疑問。繰り返しになるけど労働力人口の伸びの鈍化が原因ね。」

 

A「トランプ大統領についてなんだけど。」

P議長「えーやめようよ。FRB議長が公の場で大統領について言及することは不適切と考えられるため発言を控えさせて頂きます。」

 

A「トランプ大統領が”FRBは中国以上のリスク”なんて言ってたけど」

P議長「FRB議長の責務は雇用最大化と物価の安定、銀行の管理監督。それが仕事なの。」

 

A「大統領は議長のこと解雇できるの?」

P議長「無理無理。法律でFRB議長の任期は4年と決まっているし、4年勤め上げるつもりだし。」

 

A「FRBの独立性ってどれ程のものなの?」

P議長「政治非介入の中ですべての国民に奉仕するよう定められているよ。そう言う意味で独立してるんだよね。FRBが金利について決定したら、政府のどの機関もそれを覆せないようになってるからね。」

 

A「イエレン前FRB議長からの引き継ぎの言葉は?」

P議長「議長の役割は非常に厄介な事だ、今後あなたは他人の意見によく耳を貸すということを学ぶだろう、と。」

 

A「任期中にもう利上げを4回行っているよね。この決定はいつも全会一致なの?」

P議長「FRB理事会の全会一致で決定してきたよ。4回とも。これは深い議論無しで決めているとかそういうことでは無いからね。」

 

A「米国の銀行は経営面では順調?」

P議長「米国の銀行は金融危機前と比べて超・超・強くなったね。」

 

A「2008年のような金融制度の大崩壊が再び起こることは有り得るのかな?」

P議長「”有り得ない”は強く言い過ぎか。でも今の金融制度は当時よりはるかに回復力があるとだけ言っておこうかな。」

 

A「好調な米経済はまだ続くの?」

P議長「米国の経済成長が続かない理由が見当たらない。

 

 

 

 

パウエル議長が米国経済に対して自信を持っている事を知る事ができ安心しました。

ただなんか最後に「敗北を知りたい」みたいな負けを予感させるセリフを使ってかっこつけて締めているのは少し気になりました。

4件のコメント

  1. 大変わかり易かったです。いつもながら、いい仕事をされますね!
    トランプ大統領について、P議長「え~やめようよ」の返しが面白かったです。

    1. SPYD保有者さん
      ありがとうございます!とても励みになります。
      パウエル議長、トランプの話題に関しては気乗りしない感じなのにしっかりコメントはしているところが萌えポイントでした。

  2. いつも楽しく読んでおります。翻訳記事とてもいいですね。
    これからも期待しておりますので頑張ってください。
    バキネタが挟まってくるのもgoodです。

    1. 八百屋経理マンさん
      アリガトオオオ!アリガトオオオ!
      最近忙しくてなかなか厳しい状況ですが、やる気の出るコメントを頂き大変感謝です。頑張ります。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。