逆イールド発生でリセッションに備えるのは良いけどまだちょっと早いんじゃないと思ったり

逆イールドが発生した翌々日のウォール・ストリート・ジャーナル(3月24日(日))に、ジェームス・マッキントッシュという記者が逆イールドとリセッションについて興味深い記事を書いていたので、逆イールド発生でリセッション入りか否かで界隈が賑やかな内に記事に残しておきます。

 

“逆イールドカーブが投資家に伝える事実は既知の内容に過ぎない(WSJ 2019.3.24)”

株式投資家が嫌いなものと言えば株価下落、株価下落と言えばリセッション、リセッションと言えば逆イールドなわけですが、先週3月22日(金)に米10年債と3カ月債との長短金利差が逆転し、いわゆる逆イールド現象が発現しました。

リセッション入りを警戒してリスク資産から無リスク資産へ大きくシフトした投資家も多いようですが、ウォール・ストリート・ジャーナルはこう論じています。

  • 確かに逆イールドはリセッション入りを予測するための指標としてはベストな選択だ。なぜなら直近7回のリセッション前には全て逆イールドが観察されたから
  • しかし逆イールドは同時にFRBの利下げ判断もありえる事を示唆している。利下げが行われれば長短金利のうち短期金利が下がるので、現在の利回りは持続しないだろう。
  • FRBはリセッションの発生無しに金利を下げることができるので、逆イールドすなわちリセッションを予測するもの、という図式が完全に成り立つわけではない。
  • 実際、1965-66年と1998年は逆イールドが発生したがFRBが利下げを行ったので、経済は成長を続けた(注:1966年にS&Pは93ドルから76ドルへ約20%下落したが、GDPは成長を続けたためリセッション の定義には当てはまらなかった、という意味)。
  • 逆イールドがリセッションを正しく予測している場合でも、それがいつ来るのかは予測できない
  • 米国以外の国では逆イールドはあてにならないケースが多い。イギリス、ドイツ、日本の経済においては、2008年の金融危機におけるリセッション前に逆イールドが発生しなかった。さらに現在も超低金利やマイナス金利のせいでいずれの国も米国より大きな問題に苦しんでいるにも関わらず、逆イールドが発生していない
  • 逆イールドの状態がどれだけ続くかが重要。デューク大学のキャンベル・ハーベイ教授は米10年債vs3ヶ月債の逆イールドが指標として最重要で、最低3ヶ月続くことが「確実性の高いシグナル」の条件だと述べた。
  • ハーベイ教授によると1日や数日や数週間程度の逆イールドは、単に経済の減速を予測するに過ぎない。
  • 同じくハーベイ教授によると、利回りの測定方法には様々な方法があり、教授が信頼する別の方法で算出すると、米10年債vs3ヶ月債はまだ逆イールドになっていない可能性がある。
  • リセッションが近づいている可能性はある。しかしこれまでのところ逆イールドが示すのは景気が減速しているという事実のみだ。そんなの周知の事実でしょ?

 

という事で逆イールド発生で即撤退!などと考えなくてよいことが分かりましたし、リセッションに備えてポジションを変えるべきかどうかについても、最低3ヶ月ぐらい逆イールドが続いた後に判断しても十分間に合いそうですよね。

 

 

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