タバコ株投資をやめたのはナンピンする意味を見出せなくなったから

   

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イギリス最大規模の年金基金が、今後2年以内に投資先のタバコ株や武器関連銘柄等を全て売却し、今後それらに投資する事は無いとの声明を発表しました。

6月1日付のBloombergが報じました。

記事によると、イギリス最大の個人年金運用会社が、タバコ、武器・兵器、火力・石炭に関連する銘柄への投資を取り止める方針だとの事です。

同年金基金の運用資産は約9兆円とあり、うちどのくらいが今回の投資終了対象なのかは明らかにされていませんが、今後2年以内にこれらの産業に関連する保有銘柄を全て売却し、それ以上の投資は一切行わないと正式に発表しました。現在流行りのESG投資となります。

世界最大の年金基金である我らが日本のGPIFですら、そのESG投資規模は1兆円(2017年)であり、今後3兆円まで増やすとしているに過ぎませんので、英年金基金が9兆円全額からタバコ・武器銘柄等を排除するというニュースはインパクトがあります。

  

ですがこのニュース、逆にタバコ株ホルダーにとっては朗報だと思います。

確かにこれによりフィリップ・モリス(PM)、アルトリア(MO)、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)などの銘柄は叩き売られることになるかもしれませんが、「株式投資の未来」著者であるペンシルベニア大学教授ジェレミー・シーゲル博士が説いたように、誰もが敬遠するタバコ株への投資(配当再投資込み)こそが最も高いリターンをもたらすかもしれないからです(実際過去にはタバコ株が最高リターンをもたらした)。

 

ESG投資や世界的嫌煙ムーブメントにより敬遠されるタバコ株は、今後まさに最も株主に利益をもたらしそうな予感がしなくもないです。

 

しかし、例えリターンが素晴らしくとも、全力米国株はもうタバコ株に投資する事はないでしょう(過去にアルトリアとフィリップモリスを保有していた事はありましたが損益トントンあたりで全部売りました)。

 

理由は、「株価の長期低迷に耐えに耐えて長期間ナンピンし続ける意味が見出せなくなったから」。

要はなかなか報われない状況でのナンピンはできないし途中で売ってしまうだろうなということです。

タバコ株への投資は本当に過酷です。

「中毒性がある商品だから価格決定権が供給側にあり売り上げを如何様にも調整できる」「参入障壁が高いのに設備投資費がかからないのでキャッシュを生み続ける優良ビジネスである」「優良な株主還元(高配当)」などのタバコ株投資メリットを呪文のように唱えながら、社会的逆風で上がらない( 場合によっては下がり続ける )株価を眺め、株価が上昇し続ける他セクターの銘柄を羨ましそうに眺め、税金をしこたま取られたあとの配当金が口座に振り込まれるのを年4回眺め、それらを心の支えに数十年ナンピンし続ける・・・そんな過酷な状況に長期間耐え抜いたおかげで、最終的なリターンは確かに他より優れていましたよ、良かったね未来の自分。。。

・・・いや、良くはねえなあ、と思ってしまいます。そんなにつらい状況で何十年も我慢できないですよ(´Д⊂グスン

タバコ株に投資し続けていたら長期のリターン勝負で1番になれるのかもしれません。でもそんなに大変な思いをしなくても、他の株でそこそこのリターンを取れたらそっちの方が心安らかな人生を送れますよね?

何と言っても、タバコ株を握り続けるだけでは勝てないのがポイントです。シーゲル教授も述べていますが要は絶望的状況の中(配当再投資で)ナンピンし続けてこそのナンバー1リターンを得られるわけですからね。 「含み損が解消するまで塩漬けで長期投資すれば勝てる」などという甘いものでは全くありません。ただ塩漬けにしておくだけだったらプラ転した頃には他の銘柄やインデックスの株価だって同様に上昇しており、タバコ株はそれらの遥か足元でしょう。ナンピンしないタバコ株なんて只の配当マシーンだぜ…(単なる配当マシーンが欲しいなら米国債の方が良い)。

たまに「株価が全く上がらず全くナンピンしなかったとしても、配当利回り5%のタバコ株なら20年配当を受け取れば投資元本を全額回収できた上に、その後更に配当を受け取り続ける事ができるので魅力的」という表現をネット上で目にしますが、 もしS&P500インデックスが20年間年利回り7.2%だったら(過去のデータからするとそんなに非現実的ではない仮定)インデックス投資の元本は20年で4倍になるわけですから、20年かけて元本回収しかできないっていうのは完全に投資失敗的な発想だな、と思います。戦う前から負けてどうする。つまりそれほどナンピンは必須だという事です。

  

投資人生の最後に大きな果実を得るためだけにタバコ株をナンピンし続ける覚悟はおありですか?途中で減配、配当停止になっても?倒産する可能性もゼロじゃなくても?それよりも順張り投資(上昇トレンドにある株を買い増していく)の方が精神的負担が小さくてリターンもそこそこ取れてトータルでは満足度が高くないですか?

  

そんなしんどい思いを長期間強いられて得る1番なら…いらない!
そんな苦しい投資はムリ!
わしゃあ楽な方、楽な方に流れたいんじゃ!

   

痛いのが我慢できないお子様投資家です。メンゴ

   

でもまあそんなタバコ株ナンピンですが、ポートフォリオの一部を使って行うとか、そのスリルがたまらないとか、要はやってて楽しければ全然いいと思いますよ

   

   

例えば「お前のやってるレバレッジ3倍だって似たようなもんじゃないか」って言いたい人もいるかもしれませんが、いや、レバレッジ3倍ETFは所詮インデックス投資だからタバコ株投資とは前提がだいぶ違いますよって思いますし、何よりレバレッジ3倍ETF投資家は単に手数料を人の数十倍多く払って相場の3倍の値動きをするカジノに参加できる事に快感を覚えているだけですから、要はやってて楽しければどんな投資法でも全然OKなんですよね(真似しないでください)。 

     

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4件のコメント

  1. 私も順張投資に切り替えました。買ってすぐに利益が乗りやすいから精神的に凄く楽ですね。

    1. そうですよね。本業が投資家でない以上、多少結果に違いはあれど精神的に楽な方が良いという自分なりの結論に達しました。

  2. 全力株さんも保有してらっしゃったのですね。
    記事の内容に非常に共感できました。
    ホルダーにしかわからない心情がまさにその通りだなと。

    少なくとも、配当の再投資をためらうような方にはおすすめできませんね。
    株価は右肩下がり、という前提で考えた方がいいくらい。

    好きだから保有しているような感覚はあるかもと気づかされました。
    全力株さんがまだ保有して下さっていたなら、とても勇気づけられたのですが(笑)

    1. 保有し続けるにはタバコ株はハードルが高かったですね〜
      「高配当株投資は難しい」といいますが本当にそうだなと思いました。
      でも、タバコ株ホルダーが将来報われるかどうかは正に今のような時期に買い増しができるかにかかっていますよね。今は実に「そういう時期」だと思います。未来のトータルリターンはどうなるでしょうか。答え合わせは20年後ですね。

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